「毎日走っているのに、なかなかタイムが伸びない……」
「レース後半になると、いつも足が止まってしまう」
「練習メニューがマンネリ化して、モチベーションが上がらない」
ランニングを続けていると、このような悩みに直面することが必ずありますよね。
そんな悩みを解消するために大事な練習が「ポイント練習」です。
本記事では「ポイント練習」とは何なのか解説。
また、おすすめの実施頻度や定番メニューなどもあわせて紹介します。
現役マラソンランナーであり、多くの市民ランナーを指導している私が、プロの視点と実体験を交えて詳しく解説します。
いつものジョギングにワンポイント加え、自己ベスト更新へ向けて頑張りましょう!
ランニングのポイント練習とは?
そもそも「ポイント練習」とは何なのか。
聞いたことはあるけどよくわかっていない、という方も多いでしょう。
簡単に言えば、ポイント練習とは「身体に高い負荷をかける、強度の高いトレーニング」のこと。
普段のジョギングが、基礎体力を維持し、毛細血管を広げて持久力の土台を作る「ベース作り」だとすれば、ポイント練習はその土台の上に積み上げる「建物の骨組み」のような役割を果たします。
心肺機能や脚筋力などに意図的に大きな負荷をかけることで、身体がその負荷に適応し、より強い体へと進化するのです。
なぜポイント練習が必要なのか。
私たちの体には「適応能力」が備わっています。
毎日同じペース、同じ距離を走っているだけでは、体はその刺激に慣れてしまい、それ以上の成長が止まってしまうのです。これを「プラトー(停滞期)」と呼びます。
この停滞期を打破するために必要なのが、いつもとは違う強い刺激、すなわちポイント練習です。
私自身、マラソンでサブ3(3時間切り)を目指していた頃、月間走行距離を伸ばすことばかりに固執していた時期がありました。
しかし、距離を踏んでもタイムは伸び悩み、疲労だけが蓄積していく日々。
そこで勇気を持って走行距離を少し減らし、週に2回、「ゼーハー」と息が上がるポイント練習を導入しました。
すると、驚くほど体が軽くなり、レースペースが「楽」に感じるようになったのです。
松田コーチ「練習の質」を変えることが、壁を越える一番の近道です!
ポイント練習の実施頻度は?
「強度の高い練習なら、毎日やればもっと速くなれるのでは?」
そう考える方もいるかもしれませんが、それは大きな間違い。
むしろ逆効果になる危険性すらあります。
ポイント練習の鍵は「負荷」と「回復」のバランスにあります。
トレーニングによって傷ついた筋肉や疲弊した心肺機能は、適切な休息をとることで、トレーニング前よりも高いレベルまで修復されます。
これを「超回復」と言います。
この回復期間を無視して強い練習を続けると、ケガやオーバートレーニング症候群(慢性疲労)の原因となってしまうのです。
ランナーのレベルによって適切な頻度は異なりますが、基本的には以下の回数を目安にしてください。
初心者〜中級者(完走〜サブ3.5目標):週1回
上級者(サブ3以上目標):週2回、多くても3回
私が多くの市民ランナーの方に推奨しているのは「水曜日」と「週末」をポイント練習の日に設定するパターンです。
月・火:ジョグ(疲労抜き・つなぎ)
水:ポイント練習(インターバル走などスピード系)
木・金:ジョグまたは完全休養
土・日:ポイント練習(距離走などスタミナ系)
このように、ポイント練習とポイント練習の間には、必ず2日〜3日の「軽い練習」や「休養」を挟むことが鉄則。
メリハリをつけることで、ポイント練習の日に万全のコンディションで臨むことができ、練習の質が高まります。



「頑張りすぎない勇気」を持つこと。これも速くなるための重要なスキルの一つです!
ポイント練習3つの定番メニュー!
では、具体的にどのような練習を行えばよいのでしょうか。
数あるトレーニングの中でも、効果が高く、多くのランナーが実践している「3つの王道メニュー」をご紹介します。
インターバルトレーニング
一つ目は、スピード強化の代名詞とも言える「インターバルトレーニング」。
「疾走(速く走る)」と「回復(ゆっくりジョグや歩きなど)」を交互に繰り返すトレーニング方法です。
具体的なメニュー例
•4分間走 × 4本(間の休息は3〜4分歩き)
•1分間走 × 8本(間の休息は60秒〜90秒ジョグor歩き)
この練習の最大の目的は、心肺機能(VO2Max)の向上です。
疾走区間は、「かなりキツイ」と感じるペース(会話ができないレベル)で追い込みます。
インターバル走は精神的にもかなりキツイ練習です。
私も現役選手として言わせてもらえば、スタート前はいつも憂鬱になります(笑)。



まずは設定ペースにこだわりすぎず、「心拍数を上げる」ことを意識して取り組んでみてください。1人で行うのが辛い場合は、ぜひランニングアイランドのパーソナルトレーニングで一緒に頑張りましょう!
ペース走
二つ目は、持久力アップに欠かせない「ペース走(テンポ走)」。
「一定の距離を、一定のペースで走り続ける」という、シンプルですが非常に奥が深いトレーニングです。
具体的なメニュー例
•8km〜12kmペース走(マラソンペース、またはそれより1kmあたり5〜10秒速いペース)
•20分〜40分間の閾値(いきち)走(20分間維持できるギリギリのペースで走る)
ペース走の主な目的は、「スピード持久力」の養成と「ペース感覚」の習得です。
また、乳酸が血液中に急激に溜まり始めるポイント(LT値)を引き上げる効果があり、これを行うことで「速いペースでも楽に走り続けられる」ようになります。
ポイントは、最初から最後までペースを乱さないこと。
「今日は調子が良いから」といって序盤に飛ばしすぎたり、後半バテてペースが落ちたりしては意味がありません。
淡々と、機械のようにリズムを刻むことが重要です。
時計をこまめに見なくても、体感だけで設定タイム通りに走れるようになれば、本番での自信に直結します。
「今日は8kmをキロ4分30秒で刻む」と決めたら、そのミッションを遂行することだけに集中する。
この集中力は、フルマラソンの長い道のりを攻略するために不可欠なメンタルトレーニングにもなります。
ビルドアップ走
三つ目は、初心者から上級者まで幅広くおすすめできる「ビルドアップ走」。
「最初はゆっくり入り、段階的にペースを上げていき、最後は全力に近いスピードで終わる」トレーニングです。
具体的なメニュー例
•15kmビルドアップ(5kmごとにペースアップ)
→最初の5km:キロ6分(余裕のあるジョグ)
→中間の5km:キロ5分30秒(少しキツイが維持できる)
→最後の5km:キロ5分(レースペース、またはそれ以上)
ビルドアップ走のメリットは「ケガのリスクが低い」ことと、「レースシミュレーションができる」ことです。
体が温まっていない序盤はゆっくり走るため、ウォーミングアップを兼ねることができ、筋肉への負担を抑えられます。
そして、疲労が溜まってくる後半にあえてペースを上げることで、マラソン終盤の「一番苦しい時のスパート」を擬似体験できるのです。
「今日は体が重いな……」と感じる日こそ、私はビルドアップ走を取り入れます。
最初はやる気がなくても、ゆっくり走り出すうちに体がほぐれ、脳が「走るモード」に切り替わってくるからです。
そして最後、風を切ってスピードに乗って終わることで、「今日も良い練習ができた!」というポジティブな感情でトレーニングを締めくくれます。



「終わり良ければ全て良し」を体現できる、非常に満足度の高いメニューですよ!
まとめ
今回はランニングのレベルアップに欠かせない「ポイント練習」について解説しました。
最後に改めて要点をおさらいしましょう。
1. ポイント練習は、普段のジョグでは得られない「高い負荷」をかけ、体の限界値を引き上げるもの
2. 頻度は週1〜2回が基本。実施したら必ず回復期間(ジョグや休養)を設けること
3. 「インターバル走」で最大スピードを、「ペース走」で持久力を、「ビルドアップ走」で後半の粘りを強化する
これら全てのメニューを一度にこなす必要はありません。
まずは「今週の水曜日はビルドアップ走をやってみよう」といった具合に、いつもの練習に一つだけアクセントを加えてみてください。
ポイント練習は確かにキツイですが、そのキツさを乗り越えた先には、必ず「過去の自分」を超える成長が待っています。
昨日の自分より、少しだけ速く、強く。
ケガに気をつけながら、ランニングライフをさらに充実させていきましょう!




