・ランニングにプロテインは必要なの?
・飲むタイミングはランニング直後がいい?
・ランナーはどれくらい飲めばいいの?
筋肉の疲労回復にはタンパク質が重要である、というのは多くの方が聞いたことがあるでしょう。
そんなタンパク質を手軽に摂取できる手段として注目されているのが「プロテインドリンク」です。
本記事では、ランニングでプロテインはいつ飲むべきなのかについて解説。
また、プロテインの摂り方で重要な3つのポイントもあわせて紹介します。
現役マラソンランナーである私も、ほとんど毎日プロテインを飲んでいます。
私の経験も交えながらお伝えするので、ぜひ参考にしてください!
ランニングでプロテインはいつ飲むべき?
ランニングからの疲労回復を早めるためにも、食事とあわせてプロテインを摂取するのはおすすめです。
では、ランニングの前・中・後いつ飲むのが理想的でしょうか?
結論から言うと、
ランニング後できるだけ早く飲むのが理想です。
また、ランニング前とランニング中は摂取する必要はありません。
筋トレと同じように、ランニングでも筋肉は使われ続けており、疲労していきます。
その後の活動や次のランニングを元気に行うためにも、プロテインをはじめとする栄養の摂取が重要です。
ランニング直後は、プロテイン(タンパク質)の吸収効率が良い状態なので、早めの摂取が理想とされています。
ただし、ここで重要なのが
“できるだけ”早く摂ればいいのであって、無理に急ぐ必要はありません。
ではどのようなタイミングが理想なのか?
摂取時のその他のポイントとあわせて解説します!
プロテインの摂り方3つのポイント
ここからは、プロテインの摂り方のポイントを3つ解説します。
タイミングや摂取量などを具体的に紹介するので、ぜひ参考にしてください!
①摂取タイミング
プロテインの摂り方のポイント1つ目は、摂取タイミングについてです。
冒頭で「ランニング後できるだけ早く」摂ると良いと解説しました。
ですが、具体的な時間にこだわらず、ランニングが終わって落ち着いたタイミングで摂取しましょう!
できるだけ早めの摂取が推奨されていますが、世界的なスポーツ栄養学研究の権威であるルイーズ・バーク博士の著書(1)では『運動後の吸収効率は24時間後も高い状態が続く』と述べられています。
シャワーを浴びた後、ストレッチをした後など、慌てなくても大丈夫です!
それよりも意識してほしいのが、定期的なタンパク質摂取です。
運動後にプロテインを飲んでも、一日の食事の中でさらにタンパク質が不足していれば疲労回復の効果が薄れてしまいます。
プロテインからでも食事からでもいいので、3〜4時間ごとにタンパク質を摂取するように心がけましょう!
私の場合は、以下のようなサイクルで摂取することが多いです。
①7:00 朝ランニング後にプロテイン+食事から摂取
②11:00 昼食で食事から摂取
③15:00 仕事の休憩中にプロテインから摂取
④19:00 夕食で食事から摂取
上記はあくまで私の例ですので、ご自身のスケジュールに合わせて調整してください。

特に食事と食事の間が長く空く場合は、間食としてプロテインを摂取すると良いでしょう!
②1回・1日あたり摂取量
プロテインの摂り方のポイント2つ目は、1回・1日あたりの摂取量についてです。
普段ランニングをしている人は、以下のタンパク質量を目指しましょう。
1回あたり:体重1kgあたり0.5g(体重60kgの人なら30g)
1日あたり:体重1kgあたり1.2〜1.8g(体重60kgの人なら72〜108g)
まずは、1回あたりの推奨量について解説します。
Oliver C. Witardら(2025)による最新のレビュー論文(2)では『1回あたり0.5g/体重kgの摂取』を推奨しています。
この「1回あたり」というのは、ランニング後のプロテインや通常の食事などそれぞれでどれだけの量飲むのか、という意味です。
0.5g/体重kgは、1回のタンパク質摂取による最適な吸収量とされています。
これ以上の量でも吸収はできるのですが、余った分は酸化したり尿素に変換されたりしてしまうのです。
次に、1日あたりの推奨量について解説します。
ランニングをはじめとする持久系トレーニングをしている人は、基本的に1日あたり1.8g/体重kgのタンパク質が推奨されています。
市販のプロテインは、1杯あたり約20gのタンパク質が含まれていることが多いです。
1日2杯飲むとすると約40g。
体重60kgの男性なら108gのタンパク質が推奨されるので、食事で残り60gほど摂取する必要があります。
プロテインを1日2回摂ったとしても、食事でタンパク質が不足していると疲労回復のための推奨量は満たせません。
肉や魚、卵など、タンパク質が豊富に含まれている食材を使った食事を意識してください!



私はプロテインを牛乳割りで飲んでいます。牛乳にもタンパク質が含まれており、あまり知られていませんが、電解質の補給にもなるのでおすすめです!
③炭水化物と一緒に摂取
プロテインの摂り方のポイント3つ目は、炭水化物と一緒に摂取することです。
タンパク質は、炭水化物と一緒のタイミングで摂ることで吸収効率が高まります。
具体的に言うと、炭水化物の摂取によってインスリンが分泌され、このインスリンがタンパク質の吸収を手助けしてくれるのです。
特にランニング直後は、筋グリコーゲンが減少している状態です。
このタイミングで炭水化物を一緒に摂ることで、グリコーゲンの再合成も促進され、次のトレーニングに向けた準備がスムーズに進みます。
私の場合、ランニング後はパンや果物などの炭水化物と一緒にプロテインを飲むようにしています。
例えば「バナナ+プロテインドリンク」や「パン+牛乳割りプロテイン」など、吸収が早くて消化に優しい組み合わせを選ぶと、トレーニング後でも胃に負担をかけません!
プロテイン単体ではなく、食事や炭水化物と組み合わせることで、より効果的な回復が期待できます。



時間がないときや食欲がないときほど、この「組み合わせの工夫」を意識してくださいね!
ランニング前後のプロテイン摂取の注意点
ここまで、ランニングをしている人のプロテイン摂取について、ポイントを解説してきました。
しかし、プロテインを摂取する場合には以下のような注意点があります。
・プロテインはあくまで補助的に、基本的には食事でタンパク質量を確保する
・腎臓に負担がかかるため摂りすぎ注意
・本記事の推奨量はあくまで目安なので、体調に合わせて量を調整する
・タンパク質だけでなく他の栄養素もバランスよく摂取する
上記のような注意点を守りながら、今回紹介したポイントを実践しましょう!



要は「プロテインに頼りすぎるな!」ということです(笑)
まとめ
ランニング後の疲労回復やトレーニング効果を最大限に引き出すためには、タンパク質の摂取が欠かせません。
その手段としてプロテインドリンクはとても便利ですが、摂り方にはコツがあります。
まず、プロテインは「ランニング後のできるだけ早いタイミング」で摂取するのが理想です。
とはいえ、数分以内でなければ効果がなくなるわけではないので、シャワーやストレッチの後でも十分間に合います!
大切なのは、一日の中で「定期的に」タンパク質を摂ること。
3〜4時間おきに補給することで、筋タンパク質の合成を維持できます!
摂取量は1回あたり体重1kgあたり0.5g、1日では1.2〜1.8gを目安にしましょう。
食事だけで不足しがちな場合は、プロテインで補うのが効果的です。
また、炭水化物と一緒に摂ることで吸収効率が高まり、グリコーゲンの回復も助けてくれます。
ただし、摂りすぎや栄養の偏りには注意。
プロテインはあくまで補助的な役割なので、日常の食事をベースにしながら、上手に活用していきましょう。
日々のランニングをもっと快適に、効果的にするためにも、自分の体と相談しながら継続していくことが大切です!
参考文献
(1)スポーツ栄養学―スポーツ現場を支える科学的データ・理論 , 2023/9/12 , ルイーズ・バーク , ヴィッキー・ディ-キン , 他
(2)Witard OC, Hearris M, Morgan PT. Protein Nutrition for Endurance Athletes: A Metabolic Focus on Promoting Recovery and Training Adaptation. Sports Med. 2025 Mar 21. doi: 10.1007/s40279-025-02203-8. Epub ahead of print. PMID: 40117058.